血中濃度について
投与されたお薬は、吸収されて血液の中に入り、効果を発揮したあと、最終的にからだの外に排泄されます。血液中のお薬の濃度を「血中濃度」と言い、お薬の効き目や副作用の強さなどの目安の1つと考えられています。
お薬の効果を持続させるには、お薬がからだの外にすべて排泄される前に繰り返し投与して、ちょうど良い範囲に血中濃度を維持することが大切です。
無又は低ガンマグロブリン血症に対する免疫グロブリン補充療法の目的は、お薬を定期的に注射して、からだの中の正常な抗体を一定の量に保って免疫機能を上げることです。
トラフ値について
繰り返しお薬を投与すると、血中濃度が高くなったり低くなったりを繰り返し、連続した波のような形になります。それぞれの波の、最も低いときの血中濃度を「トラフ値」と言います。グロブリンのトラフ値が低いと感染症にかかりやすくなるため、お薬を投与することでトラフ値を700mg/dL以上に保つことが大切です。なお、このことはガイドラインで推奨されています。
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静脈内注射(点滴)の場合
静脈内注射(点滴)は直接血液中にお薬を投与するので、血中濃度がすぐに高くなります。一方で、低いときとの差は大きくなります。また、血中濃度が一気に高くなることで、発熱や頭痛など全身性の副作用が出やすくなることがあります。
点滴は病院で医療従事者が行うため、注射のために病院に行く必要があります。
皮下注射の場合
皮下注射は皮下脂肪にお薬を投与するので、じわじわと吸収され、血中濃度がゆっくり高くなります。点滴ほど高くはならないため、低いときとの差が小さく、繰り返し投与することで比較的安定した血中濃度を保つことができます。皮下注射の場合は、注射を打ったところが赤くなる・腫れるなどの副作用がみられることが多いです。
医療従事者に指導を受ければ、自宅にいながらご自身で注射することもできるので、注射のためだけに病院に行く必要はありません。
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- 参考
- ・Shehata N, et al. Transfus Med Rev. 2010; 24(Suppl 1): S28‒S50.
- ・Orange JS, et al. Clin Immunol. 2010; 137(1): 21-30.